個人事業主として起業したり、会社を設立し事業を始めると、「粗利」という言葉を聞く機会も増えることと思います。
ですが、粗利は普段聞きなれない言葉であるため、

  • そもそも粗利は何て読むの?何のこと?
  • 粗利はどうやって計算する?
  • 粗利と粗利率って違うの?

など、分からない点も多いですよね。

そこでこの記事では、

  • 粗利とは分かりやすく言うと何?粗利についての基本
  • 粗利の計算方法
  • 粗利と粗利率の違い

について解説していきたいと思います。

粗利とは?粗利の基本的解説

最初に、粗利について基本的な解説をまとめていきたいと思います。

粗利とは分かりやすく言うと何?

粗利とは「あらり」と呼びます。粗利は、損益計算書では正式には「売上総利益」と言われます。
粗利とは簡単に分かりやすく言うと、
■ 売り上げた商品そのものから生じる利益
と説明され、粗利の計算方法は、
■ 粗利=売上高(商品を販売して得られた収益)-売上原価(その商品の仕入れや製造にかかった費用)
で計算することができます。

企業にとって、様々な経費を引く前の、商品そのものから得られるおおもとの利益や、利益の源泉とも言われています。

※ただし、ここで注意しなければならないのは、売上原価の定義です。例えば

  • 仕入れたものを販売する場合は、仕入原価
  • 製造したものを販売する場合は、製造原価

となります。また、粗利には

  • 広告費や宣伝費
  • 販売するための人員の人件費
  • 販売場所の家賃

などは含まれません。

【粗利を求める例】
600円で仕入れたものを1,000円で販売した場合、
・ 1,000-600=400
・ 粗利は400円
となります。

粗利の表す意味は?粗利を見ると分かること

粗利は、企業にとっておおもとの利益となり、粗利は販売のための人件費や、家賃などの経費は差し引いていません。

そのため企業の最終的な利益を求めるには、粗利から販売のための人件費や家賃などの各種経費や税金などを引いていかなければなりません。(売り上げ以外の収益も足しますが)

つまり、粗利できちんと利益を出しておかないと、経費を引いたら赤字となってしまうのです。
特に売り上げ以外に収益がない場合は、企業の経営が厳しい状況となってしまいます。

では、粗利が多ければ多いほど、企業はその分儲かっていると判断できるのか?と言うと、実は一概にはそうとも言えません。

なぜかと言うと、粗利が多くても、経費となる販売のための人件費や家賃の方がそれ以上に高くなってしまうと、最終的な利益は会社に残らないからです。

反対に、粗利が少ない場合でも、経費を低く抑えることができれば、最終的な利益は結果的には多くなるのです。
重要なのは、利益と経費のバランスです。

粗利は、おおもとの利益として企業の利益を大きな視点で把握するのには役立ちますが、その企業が本当に儲かっているのか、黒字なのか赤字なのかを判断したり、比較するのには難しい指標と言えます。

粗利率とは?粗利と粗利率の違い

粗利と似ている言葉に「粗利率」があります。
ここでは、粗利率について解説していきたいと思います。

粗利率とは?粗利との違い

上記で、粗利は
■ 売り上げた商品そのものから生じる利益
粗利の計算方法は、
■ 粗利=売上高(商品を販売して得られた収益)-売上原価(その商品の仕入れや製造にかかった費用)
と解説しました。

一方、粗利率は
■ 売上高に対しての利益の割合
を計算したものとなり、粗利率の計算方法は、
■ 粗利率(%)=粗利÷売上高×100
で求められます。

粗利は、企業にとって、様々な経費を引く前の、商品そのものから得られるおおもとの利益と言えます。

そして、粗利率は売上高に対する利益の割合となり、企業間の競争力や効率性を測ることができます。例えば

【別の企業で同じ商品を販売している場合、粗利率を求めて比較する例】
① 売上高が1,000円、売上原価が600円の企業の場合
・ 粗利は1,000-600=400
・ 粗利率は400÷1,000×100=40%

② 売上高が1,000円、売上原価が400円の企業の場合
・ 粗利は1,000-400=600
・ 粗利率は600÷1,000×100=60%

同じ商品を販売しているにも関わらず、粗利率は①40%、②60%となっています。

つまり、比較すると②の企業の方が粗利率が高く、より効率的に商品を販売していると判断することができるのです。

また、②の方が売上原価が低く、企業努力を重ねて安く仕入れを行う(または安く製造できている)など、企業としての競争力が高いとも考えられます。

粗利率を比較するに重要なポイントは?

ただし、粗利率の比較においては、同じ業種内で同じような商品を販売している場合のみ有効だと考えられます。

なぜかと言うと、どうしても原価が多くかかってしまう業種もありますし、反対に原価を低く抑えることが可能な業種もあるからです。

例えば、アイスクリームを製造している企業と、アイスクリームを売る企業で考えてみると

・ アイスクリームを製造している企業は、製造するときの人件費も原価に含む
・ アイスクリームを販売している企業は、販売するときの人件費は原価に含まない

となります。

その場合、両者を比べると、製造業の方が原価に人件費を含む分、粗利率は少なくなってしまうのです。
このように粗利率は、全く違う業種で比べてもあまり意味がありません。
ただし、同じ業種間で比べてみると、競争力や効率性を比較する目安にはなります。

粗利率も高い方が良いとは限らない?

上記で、粗利について
「粗利が多ければ多いほど、企業はその分儲かっていると判断できるのか?と言うと、実は一概にはそうとも言えません。
なぜかと言うと、粗利が多くてもその他経費となる販売のための人件費や家賃が高いと、最終的な利益は会社に残りません。
反対に、粗利が少ない場合でも、その他経費を低く抑えることができれば、最終的な利益は結果的には多くなるのです。」

と解説しました。
粗利率も、考え方は同じです。粗利率は、同じ商品を販売している場合の企業間の効率性や競争力を比較する目安にはなります。

しかし、結局は粗利から販売管理費などの固定費を引かなければならないので、粗利率が高いからと言っても、固定費が高ければ企業が儲かっているかという判断はできないのです。

まとめ

この記事では、粗利についてまとめました。
粗利は、

売上高(商品を販売して得られた収益)-売上原価(その商品の仕入れや製造にかかった費用)

として計算でき、企業のおおもとの利益とも言えます。
粗利がないと、販売員の給料や家賃なども賄えないため、企業はまずはしっかりと粗利を出すことが重要です。

また、粗利と似ている言葉に粗利率があります。粗利率は
粗利÷売上高×100
として計算でき、企業が商品をどれだけ効率的に販売しているかと言う点を判断する材料となります。
また、同じ業種での企業間の比較の場合、粗利率は競争力の判断にも役立ちます。

しかし一方で、粗利が多いか少ないか、そして粗利率が高いか低いかと言う点と、その企業が儲かっていると言うのはまた別の話になります。

① 粗利が多く、粗利率が高いが、販売員の給料や家賃などの固定費も高い企業
② 粗利が少なく、粗利率も低いが、販売員の給料が家賃などの固定費も低い企業

では、下の企業の方が儲かっている場合も多いからです。

そのため、粗利や粗利率は、大まかな利益の目安とはなっても、実際に企業がどれだけ儲けているかなどを判断するのは難しいです。

企業の儲けなどを判断するには、粗利や粗利率に加えて固定費などもしっかりと考慮していくことが重要です。