株式会社などの法人を設立する際に、必ず用意しなくてはいけないのが資本金です。
しかし、資本金と言う単語は知っていても、

  • 資本金とは具体的にどういうもの何なのか
  • 資本金は使っても良いのか?何に使うのか
  • 資本金の金額は、いくらくらいが適切なのか

など、詳しくは分からないという方も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、

  • 資本金の意義や使い道など、資本金についての基礎知識

について解説したうえで、

  • 資本金の妥当な金額について
  • 資本金の金額によりメリットやデメリット、注意点など

について、解説していきたいと思います。

資本金とは分かりやすく言うと何?資本金の基礎知識

最初に、資本金の意義や使い道など、資本金についての基礎知識などついて解説していきたいと思います。

資本金とは?

資本金とは、簡単に言うと
「株式会社などの法人を設立するために、代表取締役や株主などの出資者が用意した資金」
のことを指します。
具体的には、
・会社を設立する際の登記費用や設備費用などの初期費用
・会社を運営していく中で必要となる資金
などに利用するお金のことを言います。

資本金は自己資本とも言い、基本的には株主や投資家、事業主自身が用意したお金となり、金融機関などから融資を受けたお金を充てることはできません。
資本金は借入金とは異なり、返済の必要のないお金のことなのです。

資本金に関しての決まりやルール

次に、資本金に関しての決まりやルールについて、解説していきます。

1、資本金が必要な企業形態
資本金は法人を設立する際に必要となります。
現在、日本の法人企業形態としては
・株式会社
・合同会社
・合資会社
・合名会社
の4つがありますが、全ての形態で資本金は必要となります。

2、資本金の金額についての決まり
2006年に改正された新会社法では
「会社を設立する際の資本金は1円以上であれば良い」
決まりとなっており、1円からでも会社を設立することが可能となっています。
これは株式会社でも合同会社でも、全ての企業形態に適用されます。

2006年に法律が改正されるまでは、株式会社は資本金1,000万円以上、有限会社は資本金300万円以上という制限があったため、現在は会社設立への資金的なハードルは大分低くなったと言えます。

しかし、法律的には1円から可能ですが、資本金は
・初期費用や運転資金として必要となる
・ある程度の金額を用意することで会社としての経営体力を示すことができ、信頼が高まる
などの理由から、実際には資本金1円ということはほぼなく、妥当な金額を準備することがほとんどです。

3、資本金の使い道や使う時期
資本金の使い道としては、会社の経費や費用として使う分には、使い道に特に制限はありません。
会社設立費用(例えば株式会社を設立する際は登記費用などだけでも20万円が必要です)や備品の購入などの初期費用、そして経営してく中での運営資金などに充てるのが一般的です。

また、資本金は登記手続きの際に必要な書類(通帳のコピー等)を準備するときにのみ必要となります。
ですので、資本金の入金の確認さえ済めばいつでも利用して良いのです。
しかしながら、トラブルを避けるため、資本金を使う場合は全ての会社登記手続きが済んでからの方が良いでしょう。

個人事業主にも資本金はあるの?

資本金は、株式会社などの法人を設立し、登記する場合に必要となります。
そのため「資本金」という勘定科目は法人のみに利用されるものであり、個人事業主には会計的に「資本金」という勘定項目はありません。

ただし、個人事業主にも資本金の役割のような項目があります。
それを「元入金」と言い、個人事業主のみが使う勘定科目で、法人にはありません。
元入金は個人事業主が開業する際に必要な費用などを賄うもので、意味合い的には法人における資本金とほぼ同じです。
しかしながら、個人事業主においては登記がないので、事業を開始する際に元入金を報告する義務はありません。
従って元入金はなくても(0円であっても)事業を開始するのに問題はありませんし、書類などで記載を求められることも特別な事情がない限りはないでしょう。

資本金の妥当な金額とは?

次に、資本金の妥当な金額についての考え方や、資本金の金額と会社の業績の関係についてまとめていきます。

資本金の妥当な金額や、業績との関係とは?

資本金は、
・最初に会社を登記する際や備品の購入などに使う初期費用
に加えて、
・事業の途中で、経営がうまくいかなかったり、何らのトラブル等により会社の売上が立たないという場合などの運転資金
として充てられます。

そのため一般的には、
「会社を設立する際の初期費用+会社としての純利益がなくとも、3ヶ月~6ヶ月は会社を運営できる運転資金」
が妥当な相場だと言われています。

資本金は法律的には1円以上であれば良いのですが、実際に会社を経営していくには、1円の資本金では無理がありますので、注意してくださいね。

<h3資本金の金額と会社の業績の関係

「では、資本金は多ければ多いほど、会社としての業績も良いのか?」
と考える方も多いのですが、実はそういうわけではありません。

資本金はあくまでも初期費用や運転資金なのであり、資本金が多いからと言って今の会社の業績状況とは何の関係もありません。
また、機械などの設備が多く必要な会社の場合は資本金も高くなりますし、逆に設備投資があまり必要ない会社だと資本金は低くなるため、資本金の金額だけでは会社の業績も分かるわけではありません。

しかし一方で、資本金の金額が多い会社は安定した経営をしており、もし何らかのトラブルがあったときでも簡単に倒産することはない、と判断され、信用度が高まると言うのは事実です。
そのため、資本金は会社の業績を測るには適しませんが、会社としての経営に対する体力を判断する目安になります。

資本金の金額は登記されますし、現在では会社のサイトなどに資本金の金額を公表している場合も多いので、新たに取引を始める場合や融資を受ける際には必ずチェックされると言って良いでしょう。
そのような理由もあるため、資本金の金額は1円ではなく、相応の金額を準備した方が良いと言えます。

資本金の金額によるメリットやデメリット、注意点

資本金は、金額によっては税金が優遇されるなどのメリットがあります。
しかし一方で、金額によっては税金が高くなるとい言うデメリットを受けてしまう場合もあります。
また、業種によっては資本金の金額に下限があり、会社を設立する際に一定金額以上の資本金が必要となるなどの注意点もあります。
ここから、資本金の金額によるメリットやデメリットや注意点についてまとめていきます。

資本金の金額によって、消費税や法人住民税が優遇される場合がある

資本金の金額によっては、会社を設立し、登記をする際の登録免許税が優遇される場合があります。
具体的には、登録免許税は
・資本金額が2,143万円未満だと15万円だが、2,143万円以上だと資本金額×0.7%
となります。

そのため、資本金が2,143万円以上だと登録免許税は高くなってしまいます。

会社を設立する際の許認可を受けるために、資本金の金額が決められている業種がある

特定の業務内容の会社を設立する場合、資本金に下限が設定されているなどの決まりがあることがあります。例えば
・一般建設業許可を取得する場合は、資本金500万円以上でなくてはならない
・特定建設業許可を取得する場合は、資本金2,000万円以上、かつ自己資本4,000万円以上でなくてはならない
・一般労働者派遣業許可を取得する場合は、資本金1,000万円以上でなくてはならない
などの決まりが挙げられます。

会社を設立する場合は、業種に資本金の金額による決まりはないかどうか、あらかじめよく確認しておきましょう。

金融機関からの融資を受けるために、資本金の金額が決められている場合がある

金融機関から融資を受ける際、資本金の金額に下限が設定されているなどの決まりがある場合があります。例えば
・日本政策金融公庫の「新創業融資」を受ける場合、融資を申し込む金額の10分の1は、自己資金を資本金として出資できることが必要
などの条件が挙げられます。

また、下限などが設定されていない場合でも、金融機関から融資を受ける場合は審査に資本金の金額が影響する可能性が高いです。
資本金の額が低いと、融資の審査に通りずらいこともあるようなので、将来的に融資を考えている場合にはあらかじめ注意しましょう。

以上のように、資本金の金額によっては多すぎても少なすぎてもメリットやデメリット、そして注意点などがある場合があります。
資本金の金額は適当には決めず、慎重に適正額を検討する必要があることを、よく注意しておいてください。

まとめ

この記事では、資本金についての基本事項や決まり、そして資本金の金額によるメリット・デメリットや注意点についてまとめました。
法律では、資本金は1円以上であれば良いのですが、実際には資本金で初期投資や、途中で事業がうまくいかなくなった場合の運転資金を賄わなければならないため、ある程度の金額は準備する必要があります。
しかし、資本金の金額によっては、多すぎても少なすぎても税制の面でのメリットやデメリット、そして業種によっては許認可を受ける際に条件などがあります。
ですので、資本金の金額は適当に決めることはせず、慎重に適正額を検討し、決定するように注意しましょう。