起業家としてビジネスを展開していくにあたって仲間が増えていく、つまり従業員が増えていくというのはとても喜ばしいことです。しかしその反面、従業員を雇い入れるということはきちんと従業員に対して給料や各種保険の費用を払い込んで行かなければならないという大きな責任を負うということに他なりません。

自分1人の会社であれば、売上はもちろんのこと自己資金である程度なんとかすることも最初のうちは可能ですが、従業員が増えてくるとなかなかそうも言っていられないのが現状です。

そして、そんな経営者の方を助けてくれる存在が助成金という存在です。この助成金にも様々ありますが、その中でもキャリアアップ助成金というものがあります。今回はこのキャリアアップ助成金について申請時に注意したいポイントも含めてご紹介をしていきます。

キャリアアップ助成金とは?

そもそもこのキャリアアップ助成金というのは一体どういった性質の助成金なのでしょうか。

この助成金は厚生労働省が用意している助成金のひとつで、現在契約社員またはパート社員など正社員ではない従業員を雇用している経営者の方に向けた助成金の制度です。

例えば現時点で契約社員やパート社員を6ヶ月以上雇用してお給料をきちんと支払ってきているということであれば、それらの社員を正社員に登用し、そこからまた半年の間継続して雇用しお給料を支払い続けることによってほとんどの場合1人当たり60万円の助成金を受け取れることができるというシステムです。

この他にも一般職業訓練や中長期的キャリア形成訓練などを行った場合に助成金を受け取ることができる人材育成コースという助成金や、現時点で正社員ではない労働者の方に対する基本給を改定しその金額を2%以上アップさせる、または1週間の間に労働することができる所定労働時間を25時間未満と言う時間から30時間以上という部分まで延長させ、さらに社会保険の適用を新規に受けさせることができた場合に助成金をもらうことができる処遇改善コースといったものも存在します。

これらは国の方針によって正規雇用者を増やし、そしてその雇用を促進する風潮の中で実際にこういった方針に協力または貢献することで助成金を受け取ることができるという制度となっており、雇用される側は処遇改善や結果的に給料のアップを見込むことができ、雇用する側は助成金を受け取ることができるということでお互いにメリットのある助成金制度となっています。

申請は社労士さんと一緒に進めると良い

このキャリアアップ助成金については非常に手続きが煩雑で、また満たしていなければならない条件も細かいものがいくつか存在します。よほどこういった手続きに慣れている社長さんであればある程度自力で手続きを進めていくことも決して不可能ではありませんが、多くの場合は初めてこのキャリアアップ助成金の申請を行い、そして、雇用している従業員の処遇改善や正社員への登用を行うというケースに該当するのではないでしょうか。

こういった場合には様々な落とし穴が存在し、労力と時間をかけたものの結果的に助成金を受け取る要件に該当しないと判定されてしまう可能性も残念ながら存在します。またこのような状況になってしまうと、従業員の処遇が改善されたことにより一時的にであれ会社の負担が大きくなってしまい、場合によっては会社の事業運営に大きなダメージを与えてしまうことすらリスクとしては考えられます。

こういった状況を避けるためにも、原則的に申請については顧問社労士の先生と一緒に進めると良いでしょう。もし顧問社労士の先生がついていないという場合にはスポット契約でも良いので、こういったキャリアアップ助成金関係に明るい社労士の先生に依頼をするという方法があります。

いずれの場合でも特段こういった手続きに慣れているということでない限りは、助成金のプロである社労士の先生にお願いして一緒に作業を進めていくとより安全にキャリアアップ助成金を受け取ることができるでしょう。

忘れてはならない2つのポイント

そしてこのキャリアアップ助成金を受給するには2つのポイントが大きな壁として存在します。

まず、1つ目の壁は対象の労働者がどういった状況になっているかということです。

例えば現時点で正社員として雇用しているようであれば、キャリアアップ助成金の対象にはなりません。あくまでもキャリアアップ助成金を受給することができる対象労働者は有期契約労働者、無期雇用労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用者でその雇用期間が6ヶ月以上の場合のみとなります。

これらの条件に該当しない場合は問答無用でキャリアアップ助成金を受け取ることはできませんので注意が必要です。

そして、もう1つの条件としてはキャリアアップ環境というものを用意しなければならないということです。

このキャリアアップ環境というのは「厚生労働省が作成したガイドラインに則って事業所ごとにキャリアアップ管理者と呼ばれる管理者を配置することで環境が整い、このような形で弊社の非正規雇用の労働者をキャリアアップさせていきます」と言った内容を記したキャリアアップ計画書というものを作成し、その上で事業所が所在する地域の管轄の労働局に赴いてキャリアアップ計画書の認定を受ける必要があります。

なお、当然のことですが会社組織自体に就業規則はきちんと制定されており、それらが正しく運用されているという証拠も必要となりますので、現時点で就業規則が存在しないという場合には大至急就業規則を制定しそれを全ての社員に周知徹底するというところからスタートしなくてはなりません。

現時点で会社に就業規則が存在しない場合はこの段階から社労士の先生に助言を頂いておいた方が何かとよろしいでしょう。これらの条件が満たされていれば社労士の先生と共に作業を進めることによりキャリアアップ助成金を受け取ることができるようになるというわけです。

まとめ

このように会社を運営していくにあたり一番重要な支出である人件費については、一定の条件を満たし正規雇用の増加に貢献するのであれば助成金を受け取ることができるようになっています。これをキャリアアップ助成金と言います。

キャリアアップ助成金を受給することができるのは6ヶ月以上雇用している非正規労働者の方がいる会社の経営者のみです。とにかく手続きが煩雑なことから、出来る限り社労士の先生にお願いしてキャリアアップ助成金の受給に向けて一緒に動いていただくということが何よりも重要な要素となります。